クマとの戦い

元陸上自衛官で、兼業農家のMasahikoです。今回は、ちょっとした小話です。皆さん、Google Mapで演習場の地図を見てみてください。自衛隊の演習場はとても大きく、山地沿いに広がっているのがわかると思います。自衛隊の演習場は、部外の人が中に入れないようにフェンスで囲われています。でも、山の奥の方にはフェンスが無いところもあります。ですから、演習場の中にクマなどの動物が入ってくることがよくあります。人間からすれば、「なぜ演習場の中に入ってくるんだ」となりますが、動物からすれば山の中に入ってくる人間のほうが邪魔者と言えるでしょう。

演習場では車両だけでなく、ヘリコプターの離発着も行われます。

演習場の中で訓練をやっていると夜中に一斉放送で「クマ情報、クマ情報、◯◯においてクマらしき動物が確認された。十分に注意されたい。」というような感じで無線の放送が入ります。私自身、熊を見たことはありませんが、自分たちが野営をした地域において、夜が明けた後、熊の足跡を見たことがありました。また、私にはわかりませんでしたが、獣の匂いがするという隊員もいました。このように、演習場で訓練していると、仮設の敵以外に野生の動物との戦いが始まります。今まで、演習場において自衛官が熊に襲われたという話は聞いたことがありませんが、夜中に一人で歩哨(陸上自衛隊は見張りのことを歩哨といいます)についていると、熊などの動物に襲われるのが怖くてたまりません。私が歩哨任務についていて、一番怖い思いをしたのは、イノシシが近くを歩いていたことです。たまたま、見たのが1匹だけだったのかわかりませんが、集団で行動していなかったので助かりました。もし、イノシシが集団でいるときに威嚇行為だと思われたら襲われる可能性もあり命に関わります。イノシシは非常に凶暴で本当に怖いです。

また、春や秋の収穫の季節には、民間人がきのこ狩りや山菜刈りのため演習場に入ってきます。民間人もだめだとはわかっていても演習場の中に入ってきます。そんなときは、「訓練をやっているから危ないですよ」と言って外に出てもらいます。戦車などの装軌車が訓練をやっているときは本当に危ないです。我々自衛官も戦車を見たときは、操縦手からよく見えるような位置に移動して危険を回避します。特に夜間は要注意です。過去、何十人という自衛官が装軌車に引かれて命を落としています。

演習場は、自衛官しか入ることができない民間の方にとっては未知な世界だと思います。もし、演習場の近くを通ったときは、耳を澄まして聞いてみてください。小銃や機関銃の空包(現職自衛官も「空砲」と間違えたりします)の音が聞こえるかもしれません。隊員が日本の平和のために昼夜を問わず訓練している証です。そして、演習場から帰る部隊や隊員に手を振ってあげてください。民間の方からの応援が、自衛官になって良かったと感じる一番の瞬間ですから。

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