新隊員前期教育課程(その2) 武山駐屯地

元陸上自衛官で兼業農家のMasahikoです。前回は、新隊員前期教育の大まかな紹介をさせていただきました。今回は、その教育の中でも印象に残っていることやこれから新隊員前期教育に参加する予定の方に有益なお話しをしたいと思っています。

この新隊員前期教育課程の目的は、「陸上自衛官として必要な最低限度の能力を身に付けること」です。新隊員前期教育課程中に職種というものが決まります。その後の新隊員後期教育課程で普通科(昔の歩兵)、機甲科(昔の戦車)というように、専門的な技能を身に付けていきます。その職種に限定されない共通的な最低限度の能力を身につけるのがこの新隊員教育課程です。その教育の中でも、一番配当時間が多いのが、普通科職種的な行動である戦闘訓練です。新隊員当時の私は、後方職種を目指そうと思っているのになぜ戦闘訓練なんてやらなきゃならないの?と思っていました。考えが浅はかというか、自衛隊の本質というものを理解できていなかったのだと思います。平気で、教官にもそんなことを言っていましたから。でも、教官は、そのことに対して、答えを言ってくれる人はいませんでした。恐らく、経験を積めばそのことに気づくと思っていたのでしょう。その後、順調に陸曹、幹部自衛官となりその本質に気づかせてくれる機会をたくさん持つことができました。本当にラッキーでした。私なりに本当に簡単に説明しますと、「自衛隊の本質は武力集団であること、そのため、陸上自衛隊のすべての行動は最前線で戦う普通科隊員のためにやっている」ということです。ですから、陸上自衛隊のスタンダードは普通科の行動にあるのです。その普通科を理解していないと、今何のために私達が行動しているのかがわからないですよね。なので、新隊員前期教育で普通科隊員の基礎的行動を徹底的に詰め込むのです。この戦闘訓練は、その他の職種になっても自分たちの部隊の防護活動などにも必要な要素を持っていたので、本当に大切だったと思います。

新隊員前期教育で学んだ戦闘訓練が自衛官の基礎となります。(陸上自衛隊HPより)

その他にも、基本教練と言われる自衛隊の行動の決まりごとのようなこともやります。きちんと列を作って、指揮官の号令に基づいて動いているのを見たことがあると思いますが、その基本的な行動を練習するのです。中央観閲式を見たことがあると思いますが、一糸乱れぬ行動をしていると思います。他国に自衛隊の強さ(威容といいます)を示すのです。

教育を卒業する頃にはみんなこんなに立派になります。(陸上自衛隊HPより)

他にも、通信機の取り扱いや小銃の分解方法など朝から晩まで身に付けられるまで、何度も練習します。自衛官は、試験のために毎日勉強しているわけではありません。自らの生死のみならず国民の生命がかかった場面で行動することになりますから、体が自然に動くまで何度も何度も練習します。物覚えが悪いと補修もやってくれます。私も補修の常連でした。こんな私でも、幹部になって、FOCという幹部の上級課程にも参加しました。将来は、大隊長という200名程度の部隊を率いることために必要な教育を受けました。自衛隊は努力すれば、絶対に認めていくれます。(けどバカなやつも多い、、、、足を引っ張るやつも多い、、、、)あとは、簡単な法令教育もあります。捕虜の取り扱いとか自衛隊法について簡単なことを学びました。当時はほとんど覚えていませんでした。その後、陸曹になるときの試験のために何度も勉強するので、無理に覚えなくていいと思います。

夕方5時に課業という民間で言う仕事の時間は終了します。5時以降は、課業外と言われます。新隊員の時期はこの課業外にも自習時間などが設けられています。ですから、自分自身のために当てられる時間は、1時間くらいです。その1時間でやりたいことをやるのです。彼女がいる人は電話をしたり、漫画が好きな人はひたすら漫画を読んでいたりします。自ずと時間を大切にするようになります。時間を大切にするということは、時間の使い方がうまくなるということにも繋がります。やることも効率性がよくなります。こうやって、3ヶ月後には、立派な自衛官に成長します。

ちょっとだけ、この教育のデメリットをお話しますね。それは、週末しか自衛隊の外に出ないので、情報に疎くなります。世間で話題になっていることもわからないということもありました。一番のデメリットは、礼儀を学ぶ機会がないということです。民間であれば、多くの人と仕事をすることになるため、礼儀が身につきますが、自衛官は、隊内で気心知れた者同士で付き合うことになるので、礼儀について学ぶ機会が少ないです。これは、その後の長い自衛官生活にも影響を及ぼすことになります。自衛官は礼儀知らずの隊員が多いです。礼儀については、自ら学ぶという姿勢がとても重要です。

次回は、教育期間中の週末について紹介させていただきます。

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